窓の外の木に深夜、客が来ることがある。ヤエヤマオオコウモリだ。人が寝ている傍で騒ぐ“常識”の無い彼らは、電気を点けると逆さにぶら下がったままこちらを見ている。だが、彼らからすれば“非常識”はこちらなのだろう。夜行性、天地も逆、同じ哺乳類だが分かり合う事は無さそうだ。
暗闇に飛び去って行くコウモリは、喉で出した超音波を口や鼻から発信し、それが物に当たって跳ね返ってくるのを大きな耳で聞き取る。反響音を基に,脳内で周りにある物の3Dイメージを作り出す検知機能は高性能で、ある研究者たちは1ミリ秒(1000分の1秒)を上回る精度で検知することなど「不可能に思える」と言っているが、コウモリは10ナノ秒(1億分の1秒)それをしているらしい。不可能のはるか上をやってのけているのだ。
これを応用して視覚障害者用の杖が開発されていて、この杖を使えば周囲の状況を立体的にイメージし,木の枝などの障害物も避けることができる。“コウモリ杖”を設計したブライアン・ホイルとディーン・ウォーターズは「コウモリの素晴らしいエコーロケーション能力をヒントに,この杖を作った」と言う。
“コウモリ傘”くらいの発想しか出来ない自分は、コウモリの方が正しい気がしてきた。「“常識”とは人が18歳までに身に着けた偏見」と“天才”アインシュタイン言っている。気が付くと窓の外は明るくなり日が昇り始める。これを朝と言おうか夜と呼ぼうか。「その日は朝から夜だった」そう歌ったバカボンのパパは“天才”なのかも知れない。
貝工房りん スーさん