西表島のタコと人

コラム

この時期、島ではタコが獲れだす。潮の満ち引きでタコは動いているが、島人も同じくこの時期の大潮の夜、海に行く習性がありタコとさほど変わりはない。それを島人に言うと、潮に合わせて動いているのではなく、タコに合わせて動いているのであって、それとこれとは別の話だという。

関西の友人の話では一家に一台タコ焼き機があるのは常識で、タコ焼き研究会まであるらしい。タコ焼きは一つの食文化になっている。

ロボットエンジニアたちもタコの研究をしている。体を極力傷つけずに行なう手術の助けとなる医療機器の開発の分野で注目されている技術の1つは,タコの超柔軟な腕だ。 タコの腕は狭いスペースでも物をにぎったり,つまんだり,締めつけたりすることができる。また,腕はどの方向にも自由に曲がるが,必要に応じて一部分を硬化させて曲がらないようにすることもできる。こうしたロボットアームはすでに開発されていて、開発チームのトマゾ・ランザーニ博士は「このシステムは,より進歩的で改良された医療機器の先駆けとなるはずだ」。とコメントしている。いずれその技術によって命を救われるのかもしれないと考えると、タコは命の恩人という事になる。

我々はそんな素晴らしいテクノロジーを小麦粉と一緒に焼きソースをかけ、青海苔をかけ、ビールが合うなどと言い食文化にしている。いささか恩知らずな自分をとがめる気持ちになるが、タコ焼きはビールに合う。素晴らしいテクノロジーではあるが、それとこれとは別の話である。

貝工房りん スーさん