小魚が群れを成して泳いでおり大きな一つの生き物に見える。誰が指揮を取っているのか不明だが見事に統率され、渦を巻いたり瞬時に向きを変たりする。長年海に関わってきたが魚同士の接触事故の話は聞いたことが無い。魚はぶつからないのだ。
世界では自動車事故で毎年100万人以上が死亡し,約5,000万人がけがをしている。クルマ社会ではやむを得ない事なのかも知れないが、魚は大集団の中でも互いにぶつからずに泳ぐことが出来ている。これを研究して日本の自動車メーカーは「ぶつからないクルマ」を作りたいと考えており、互いに衝突せずに集団走行する小型のロボットカーを製作した。このロボットカーの主任研究員である安藤敏之氏は、「最新のエレクトロニクス技術を駆使して魚群の行動を再現した」と述べ、「魚群の行動は……クルマ社会として学ぶところが大変多い」とも語っている。
これだけ車が多いとルールや意識だけで事故を避けるのは困難であり、ぶつからないシステムを開発するより方法はないように思える。
西表島では交通量が非常に少ないため事故の確率は低いのだが、それでもぶつからないというわけではない。世界遺産になってこの島の海の魚を守るため入島税やら規制やらで、島民たちの意見はぶつかっているようだ。魚たちは今日もぶつからずに泳いでいるというのに。
貝工房りん スーさん