西表島で海を眺めていると残念な事に、ペットボトルなどのゴミが沢山漂着しているのが目に留まる。なぜゴミがあるのかは簡単で、人が捨てるからだ。地元で回収しても海外から流れてくるペットボトルは多く、世界は一つだと思い知る。だが海岸には素敵な貝殻も沢山ある。
夜光貝や高瀬貝を加工してアクセサリーを作り、土産物として島で販売している。貝殻に同じものは一つとしてない。夜光貝は研磨すると真珠層が光沢を放ち、真珠とグリーンの美しい世界が出来てくる。
綺麗な物は脆いかと思いきや真珠層は強靭だ。真珠層には,極小のうろこ状のものが100万分の1㍉レベルの間隔で並んでいる。「真珠層のナノスケール構造の複雑さは実に驚異的であり,それが材料の強靱さの決定的要因の一つとなっているようである」と,米国マサチューセッツ工科大学材料科学工学科の准教授クリスティン・オルティスは述べており、エンジニア達はまだそうした技術を持つに至っていない。実に小さな事の整然とした積み重ねが、綺麗で強靭な真珠層を作り出しているのだ。
自分はせいぜいその材料を加工して作品としているに過ぎず、「素敵な作品ですね」などと言ってくれるお客さんもいるが、自分が作ったと言うのはおこがましく思える。
工学上の傑作とも言える材料がなぜ海岸に転がっているのだろうか。ペットボトルよりはるかに綺麗で強靭でナノスケール構造を持つ貝殻は偶然に出来たと言うこの“島伝説”。信じるか信じないかはあなた次第だ。
貝工房りん スーさん